耐震改修を除き、今までは自己資金で住宅を取得、改修等しても所得税の税額控除は受けられませんでしたが、平成21年度の改正で、一定の取得、改修等については自己資金によっても受けられるようになりました。また、住宅ローン控除等も改正されています。

 
(平成21年分以後の所得税の住宅控除の概要)
21年分から所得税の住宅控除が変わったそうですが、どうなったのでしょうか。

21年度改正の概要は、次のとおりです。

  1. 住宅借入金等特別控除に一般のローン控除より有利な認定長期優良住宅(いわゆる2百年住宅)のローン控除の制度が設けられました。ただし、これは新築等に限り、中古住宅の取得や増改築等はこの特例の対象とはなりません。
  2. 新たに非ローン型の住宅控除が創設されました。すなわち、認定長期優良住宅を新築等した場合又はバリアフリー改修等特定の改修工事を行った場合、ローンがなくても所得税の税額控除が受けられる新たな仕組みが創設されました。
  3. そのほか一般の住宅借入金等特別控除、特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用期限が5年延長され、住宅耐震改修特別控除等についても所要の改正がなされています。

所得税の住宅控除の概要

 
(適用基準日は)
例えば、認定長期優良住宅住宅借入金等特別控除(A-2)の適用期間は「H21.6.4」からということですが、それは新築等の日ですか、何の日ですか。

新築等をして、自己の居住の用に供した日です。したがって、新築等が「H21.6.4」前であっても、入居日が同日以後であれば特例控除の対象となります。

 
(改正後の住宅ローン控除は)
一般と優良住宅とで住宅ローン控除は改正でどうなるのですか。

ローン型では、控除額=(ローン残高×控除率)が基本ですが、住宅借入金等特別控除の控除率等は、次のとおりです。なお、認定長期優良住宅住宅借入金等特別控除(A-2)は、住宅借入金等特別控除の控除率等の特例ですので、その他の適用用件等は、住宅借入金等特別控除(A-1)と同じです。住民税のローン控除の適用もあります。

住宅借入金等特別控除の控除率等

 
(改正後のその他の住宅控除は)
改正でその他の住宅控除は、どうなりましたか。

次のようになります。

改正後のその他の住宅控除

 
(特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象は特定の増改築等だけですか)
特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる工事は特定の増改築等だけですか。

そうではありません。

特定増改築等住宅借入金等特別控除(B)の対象となる増改築等であるためには、その増改築等工事がバリアフリー改修工事または省エネ改修工事を含んでいなければなりませんが、それ以外の増改築等工事を併せて行った場合、その部分も特別控除の対象となります。ただし、バリアフリー改修工事等特定の増改築等部分の控除率は2%ですが、それ以外の一般の増改築等部分のそれは1%です。(改正後のその他の住宅控除は)で特定増改築等住宅借入金等特別控除の控除額の計算において「A」と「B」を区別し、「B」が「増改築等」となっているのはこのためです。「B」にはその他の増改築を含みます。

他方、非ローン型の住宅特定改修特別税額控除(Ⅱ)や住宅耐震改修特別控除(Ⅲ)の対象となる増改築等は特定の増改築等に限られます。これらと併せてその他の増改築等を行っても、その部分はこれらの控除の対象とはなりません。

 
(非ローン型控除は住宅ローンがない場合の特例ですか)
非ローン型の住宅控除は、住宅ローンがない場合の特例ですか。

非ローン型というのは、住宅ローンがなくても受けられるということであって、自己資金による場合に限るということではありません。したがって、取得等の全部または一部が住宅ローンによるものであっても差し支えありません。

 
(非ローン型控除の特徴は何ですか)
非ローン型の控除にはどんな特徴がありますか。

非ローン型の特徴は、まず第1に(1)取得等の資金を問わないということですが、住宅ローンを前提としませんので、(2)控除額は、ローン残高を基礎にしてではなく、取得等に要した費用の額を基礎に計算します。さらに、(3)取得等に要した費用の額は、ローンに係る部分に限らず、その全部が対象です。

また、(4)控除期間は、ローン型と違い取得等の年分・1年だけです。その他、非ローン型の控除は(5)住民税の住宅ローン控除が受けられませんし、(6)年末調整では受けられません。

ただし、認定長期優良住宅新築等特別税額控除は、新築等の年分の所得税から控除しきれないときは、その控除未済額をその翌年分の所得税から控除できます。また、取得等に要した費用の額は、無制限ではなく、「標準的な費用の額」が限度です。

 
(複数の控除に該当する場合がありますか)
住宅ローンで、認定長期優良住宅を取得したり、バリアフリー改修をしたような場合、一つの取得等が複数の住宅控除に該当する場合がありますか。

例えば、バリアフリー改修は、一般の住宅ローン控除(A-1)の対象となると同時に特定増改築等住宅ローン控除(A-2)の対象となり、更に、住宅特定改修特別税額控除(Ⅱ)の対象ともなります。次の表の同じ色の特例が同時に該当する可能性があるものです。

住宅控除対象

 
(複数の控除に該当する場合、控除はどうなりますか)
複数の控除に該当する場合、控除はどうなりますか。重ねて控除が受けられますか。

一つの取得等が複数の住宅控除に該当する場合、選択できるのはその中の一つの特例だけです。ただし、住宅耐震改修特別控除は住宅ローン控除と併用できます。

 
(どの控除が有利ですか)
どの控除が有利ですか。

一概にはいえません。

(1)これらは税額控除であるため、計算上の控除可能額が大きくても控除前の所得税額がそれより小さければ実際はそれが控除限度額となります。(2)所得税には退職所得に係る所得税も含むため退職の年に住宅を取得等して非ローン型の控除を活用した方が有利な場合もあります。特に(3)退職後は所得がなくローン控除が受けられないような場合はそうなるでしょう。

また(4)ローン型はローン部分しか対象となりませんが、非ローン型は全部が対象となるので、自己資金が大きい場合、有利となる可能性もあります。

一方、(5)累積での控除限度額はローン型の方が有利ですし、(6)住宅借入金等特別控除以外の住宅控除には、住民税のローン控除がないという違いもあります。これらを勘案して判断するよりありません。

 
(控除を受けるためには)
これらの適用を受けるためにはどんな手続が必要ですか。

所得税の確定申告が必要です。そのときにどの特例を適用するかを選択することになりますが、いったん確定申告をすると、後で変更はできませんので注意しましょう。

 
(どの控除が受けられるかはどうしたらわかりますか)
いろいろな控除があるようですが、そのどれに当るか、どうしたらわかりますか。

まず、自己資金のみで住宅ローンがない場合はローン型の控除の余地はありません。この場合に自己資金は親から贈与を受けた住宅取得資金でも構いません。

次に、認定長期優良住宅である場合は「長期優良住宅建築等計画の認定(変更)通知書」があるはずですし、バリアフリー等改修工事に該当する場合はその旨の「増改築等工事証明書」が、耐震改修工事については「住宅耐震改修証明書」があるはずですから、これらにより区別するのがわかりやすいでしょう。