税源移譲により所得税が減り、所得税から控除できる税額が減る人は、要件を満たせば、これまではできなかった住民税からの住宅ローン控除を受けられます。これについてよくある質問などをまとめました。
 
(住宅ローン控除とは)
20年度分の住民税から所得税で引ききれない住宅ローン控除が住民税からも控除されるそうですが、所得が少なく、所得税のローン控除が打ち切りとなったような場合でも、それが住民税から控除されるということですか。

住宅ローン控除は所得税額が上限となりますが、税源移譲に伴い所得税の税率が下がったことにより、所得税額が小さくなり、ローン控除額が小さくなるケースがあります。

この特例は、これを調整するもので、住民税に住宅ローン控除制度を導入するものではありません。即ち、住民税・所得税全体の最低税率は移譲前も移譲後も15%です。住宅ローン控除は所得税固有の制度で、このうち10%の所得税を限度に控除されていたものですが、これを住民税を通じて15%まで控除できるようにするものではありません。この意味で所得税から「引ききれない」ローン控除を住民税から控除するものではなく、税源移譲で「引ききれなくなった」ローン控除を住民税から控除するものです。正式名称は「住宅借入金等特別税額控除」といいます。

これを受けることができるのは、下の図に示す2つのケースです。

住民税の住宅ローン控除イメージ図

①税源移譲前であれば控除しきれていたが、税源移譲により控除しきれない額が発生した場合

住宅ローン控除説明図1

②税源移譲前でも控除しきれなかったが、税源移譲により控除しきれない額が大きくなった場合

住宅ローン控除説明図2

※ 住宅ローン控除できる所得税がない場合には、住民税から住宅ローン控除を受けることはできません。

 
(平成19年の入居者は)
私は、19年中に入居しましたが、住民税の「住宅借入金等特別税額控除」が受けられますか。

受けられません。

この特例は、税源移譲時の調整を図るものであり、対象は、平成11年から18年までの間に入居した者に限られます。19年以後の入居者については、この特例の適用はありませんが、不利な控除にならないように、所得税で、控除率は低いが控除期間が長い特例が新設され、選択できるようになっています(19年・20年入居者)。

 
(平成18年の入居者は)
18年中に入居しましたが18年分所得税の控除不足分を住民税で控除してもらえるのですか。

できません。

18年分所得税は旧税率で計算されており、この特例の適用の余地はありません。しかし、19年分以後の所得税についてはこの特例の適用が受けられます。

 
(バリアフリーローンは)
この特例は、バリアフリーローン控除も対象になりますか。

なりません。

この特例の適用は、所得税の「住宅借入金等特別控除」が適用される場合に限り、19年以降に適用の「特定増改築等住宅借入金等特別控除」(バリアフリーローン控除)は対象外です。

 
(何年度から)
何年度の住民税から控除されるのですか。

翌年度分です。

住民税は前年の所得に課税しますので、前年分の所得税の「住宅借入金等特別控除」について算定した一定額が翌年度分の住民税所得割から控除されます。適用は、最も長い方で20年度分(19年分)から28年度分(27年分)までです。

 
(ローン控除は年末調整で受けていますが)
年末調整で住宅ローン控除を受けていますが、税源移譲で控除不足になりました。住民税の「住宅借入金等特別税額控除」が受けられますか。

受けられます。

この特例は、所得税の「住宅借入金等特別控除」の適用を受けた場合に限り適用されます。しかし、その適用は確定申告だけでなく年末調整によるローン控除を含みます。確定申告をしない場合でも受けられます。

 
(所得税がかかっている人は)
この特例は、所得税額がある場合に受けられるのですか。

むしろ逆です。

この特例は、むしろ所得税額がゼロの場合に、一部例外を除き、受けられます。所得税があるということは、住宅ローン控除は所得税ですべて控除できたということですからこの特例の適用はありません。

 
(所得税がゼロの人は)
昨年退職して、課税所得はゼロです。この場合に、住民税の「住宅借入金等特別税額控除」は受けられますか。

受けられません。

所得税がゼロの場合、一般的には住民税の住宅ローン控除を受けられますが、所得の減少、所得控除の増、住宅ローン控除前の税額控除の増により所得税がゼロになっているような場合には、所得税のローン控除は適用されませんし、この特例の適用も受けられません。

 
(控除を受けるためには)
この特例の適用を受けるためには、何か手続が必要ですか。

必要です。

この特例は、賦課期日現在の住所地の市町村長に、年度ごとに、住民税の「住宅借入金等特別税額控除申告書」を提出することが適用要件となっています。申告期限は毎年3月15日までです。一部期限後も認められており、この申告書を税務署長を経由して提出することもできます。

 
(2年目からは)
住宅ローン控除は、所得税では一度確定申告すれば、2年目からは、年末調整で可能ですが、住民税でも可能ですか。

できません。

所得税の「住宅借入金等特別控除」は年末調整でも可能ですが、住民税の「住宅借入金等特別控除申告書」は別途申告が必要です。また、この申告書は、年度ごとの提出となっており、この特例は、その提出があった年度しか適用されません。確定申告についても同様で、それとは別に住民税の申告が必要です。

 
(源泉徴収票の摘要欄にあるとき)
源泉徴収票(19年分)の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」の記載がある場合、住民税の「住宅借入金等特別税額控除」の適用がありますか。

あります。

給与所得者の源泉徴収票については、19年分から、控除しきれない「住宅借入金等特別控除」がある場合、摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」を記載することとされています。従って、この記載がある場合は、控除不足の住宅ローンがあるものとして扱われます。実際に住民税から控除できるかどうかは、住民税計算によります。なお、この可能額は、控除不足額ではなく、住宅借入金等特別控除の全額です。

 
(提出はいつまでに)
申告期限の3月15日(平成20年度分は3月17日)を過ぎてしまいました。住民税から住宅ローン控除は受けられないのでしょうか。

受けられます。

提出期限は3月15日ですが、提出期限後でも住民税の特別徴収税額の決定通知書または納税通知書が届くまでは申告できます。大体それぞれ5月中ごろ、6月中ごろになるでしょう。従って、3月15日を過ぎても、この期間内なら申告すれば住民税の住宅ローン控除が受けられます。

注意! この制度は、現在も有効ですが、平成22年度分以後の住民税から住民税の新住宅ローン控除制度が導入され、平成18年までの入居者についても新制度が選択できます。その場合には回答も上記とは違います。詳しいことは、「住民税の新たな住宅ローン控除(創設分)」をご覧ください。